モンゴル滞在記〜理学療法士編〜

青年海外協力隊としてモンゴルへ派遣された理学療法士の滞在記

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モンゴルの病院での活動4(首都のリハビリ編)

сайн байна уу(サインバイノー)

 

今日はモンゴルの首都ウランバートルのリハビリについて書きたいと思います。

 

 

 

 

1:はじめに

 モンゴルは未だリハビリの歴史が浅く、セラピストの人数も少ない現状です。

リハビリ(理学療法士作業療法士)の専門大学は首都であるウランバートルにしかありません。

そして、2011年から2019年まで181名の理学療法士、2018年から2019年までに16名の作業療法士が大学を卒業し国家資格を有しています。

ちなみに、日本の理学療法士は、12,700人(2018年度就業者数)。

人口と理学療法士だけの単純計算をすると、

モンゴルは、16,994人に1人が理学療法士(モンゴルの人口3,076,000人:2017年)

日本は、9,859人に1人が理学療法士   (日本の人口125,209,603人:2018年)

という計算になります。(計算は苦手なので申し訳ありませんが、異なる点がありましたらぜひご指摘ください。)

もっと深刻に過疎してると思っていたけど、総人口の数が少ない為予想よりは理学療法士の数は多いですが、国民に充分にリハビリが浸透しているかと言われるとそれはまだ課題が多いです。

 首都の病院の方が職場に揃う物や給料も良いため、首都にセラピストが集中してしまい、首都と地方の人的な格差も生じていると感じています。

 

2:首都の病院について

 首都ウランバートルの病院を見学する機会があったので、紹介していきます。

見学した病院は、地方にある病院と比較すると施設やスタッフが充実している印象を受けました。

 見学しただけなので全ては分かりませんが、リハビリの内容も、青年海外協力隊が派遣されているからといって、レベルが低い訳ではなく、日本で習う基本的なリハビリを行っている事に驚きました。

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PT室

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PT室。トレッドミルなどもありました。アメリカからの支援物品

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心臓リハ専門の部屋もあり、心臓リハ専門のリハビリスタッフもいます。

 

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OT室には様々な物品がありますが、未だ充分には揃っていないとの事でした。

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モンゴル人のOTも勤務しており、作業療法を行っています。

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別の病院のPT室。

 

3:首都の装具会社について

 首都にモンゴルで現在1箇所だけの義肢装具会社があり、見学する事ができたので紹介したいと思います。

 モンゴルの義肢装具士は中国へ研修へ行き、技術を学ぶそうです。

ちなみに、オーダーメイドでの短下肢装具80,000MNT(3,200円程度)、長下肢装具600,000MNT(24,000円程度)、既製品長下肢装具100,000(4,000円程度)と首都の平均月収約4万円のモンゴル人にとっては高級品だと感じました。

 

ウランバートルの平均月収は4万円前後。

レストランのウエイター 2万円~3万円

大卒マネージャー 5万円~10万円

出典:モンゴルのお金事情 | もんごるで騎馬隊    

 

 

 

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職人が装具を作っています。

 

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金属支柱付き装具や義足などもありました。驚きました。

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プラスチック装具もありました。

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装具作成後のリハ室もあります。

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彼がリハ室を見守っていました。

 

4:首都の福祉用具について

 モンゴルでは、薬局で福祉用具などを販売しており、首都は福祉用具の種類も豊富でした。

 

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装具なども薬局に置いてあります

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モンゴルで発見した既製品の長下肢装具。調整が難しく、適応が少なそう。

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杖もたくさん置いてありました。

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日本の杖もありました。


5:首都のリハビリについて感じた事

 首都の病院や医療関係の施設を見学して感じた事は、2つありました。

 1つ目は、当たり前ですがやはり『首都の方が人、物、知識が充実しており、地方との差』を感じました。

そして、その充実した首都に更に新人セラピストが就職していき、海外からの物資なども届き、首都で勉強会なども開催される為、地方との格差はより広がっていくと感じました。

 

 2つ目は、『物資の支援は計画的に行う必要がある』と感じました。

首都の病院には、たくさんの海外から寄付された機器などが多くありましたが、中には「使い方が分からず、説明書も外国語の為使えない」と、部屋の奥に眠っているリハ機器などがありました。

また、街中を歩いていると、床に座り、物乞いをしている男性がいました。

男性の片足は切断されており、男性の前にはボロボロの義足が置いてありました。

日本でも装具・義足作成後のフォローアップの問題がありますが、モンゴルでは、より深刻に存在していると感じました。

地方で2本の松葉杖と一側下肢で元気に歩き回っている切断患者さんを見ていると、アフターフォローが充分に行えない環境では、むやみに物だけを提供する事は危険であると感じました。

 

 これからモンゴルのリハビリは、首都ウランバートルからより発展していき、その後地方に拡散していく流れとなると考えています。

だからこそ今地方で活動している自分にできる事は何か考えてやっていこうと感じました。

妥協せずに。

 

баяртай(バヤルタイ)

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